ディーバ Blog

大阪発 C#の会社、株式会社ディーバの Blog です。

ディーバではこうやって給与を決めています

青柳 @ShinichiAoyagi です。

給与の決め方はいろいろありますが ディーバ では業績に基づいて決めています。もちろん個人ではなく会社全体の業績です。

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月給は30万円/人

まず、月額は30万円/人が基本です。勤続年数などで変えるつもりはないのでベースアップはありません。もちろん、個人のスキルや希望、状況などで調整することはありますし相談にも応じます。
この月給は基本的に固定とし、業績に基づいて年2回の賞与で上乗せします(ディーバの賞与月は7月と12月で、評価期間はそれぞれ前年10月~3月と4月~9月です)。

ちなみに残業はありません。サービス残業しろという意味ではなく、社員のみんなには残業自体がないように勤務してくださいとお願いしています。月の総労働時間を定めるタイプのコアタイムなしフレックスタイム制なのでどうとでも調整できます。詳細は以下にて。

ディーバはフレックスタイム制になりました

賞与額の決め方

上述の通り月給は基本的に固定とし、会社の業績に応じて賞与額を決めるわけですが、具体的には以下のように決めています。

下図は27期(2017/10~2018/9)の構成です(8月、9月分は予測)(単位は千円)。
あまり生々しい値を出すのはどうかと思いましたが、まぁ、別に害があるわけじゃないですしいいでしょう。上場企業や大企業は決算書の開示義務があるんですし、零細企業だって銀行や取引先から求められれば提出するわけですし。

なお、この数字はキャッシュフローベースです。なので帳簿ベースの決算書とは合いません。帳簿ベースで考えてもいいんですが、私は普段はキャッシュフローベースで考えています。

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人それぞれ考え方はあると思いますが、私は「粗利に対して経常利益25%、人件費55%、固定費20%」くらいにしたいと思っています。言い換えると労働分配率を55%にしたいということです。
粗利が決まって労働分配率が決まれば人件費の額も決まるのであとは社員のみんなにどう配分するか決めればいいだけです。ただ、27期は労働分配率55%だとちょっと予定していた給与水準に届かなかったので上図のとおり65%となりました。その分経常利益が少なくなってしまいましたがまぁ仕方ありません。

人件費には社会保険の会社負担分も含まれています。だいたい16%くらいですが私はざっくり考えるときは20%増しにしています。年収600万円の人の給与を払うためには会社は720万円用意しないといけないわけです。
また人件費には私(経営者)の給与も含んでいます。去年と今年は60万円/月(年収720万円)です。代表取締役に就任した2010~2013年は30万円/月の設定でしたが実際には2~3ヶ月に1度くらいしか給料取ってなかったので年収150万円くらいでした。その後は2014年~は40万円/月、2016年~は60万円/月で一応設定どおりには給料取っています。ただ、賞与は就任以後取ったことはありません。

賞与の配分

人件費の総額が決まれば賞与の総額も決まります。単純に人件費から月給の総額を引けば残りが賞与に使える金額です(社会保険の会社負担分の考慮も必要)。
あとは誰にどれだけ出すかを決めればいいだけです。
給与賞与はこのようにして求めています。「Aさんは優秀だから○○円にしよう」ではなく「業績的に賞与に××円出せるからそれをみんなに配分」という考え方ということです。
実績で言うと、今年度の業績では社員の皆さんの年収は450万~500万円程度でした。

最初の目標は平均年収600万円

私は社員の平均年収を少なくとも600万円にしたいと思っています。今年度は残念ながらそこまではいけませんでした。600万というのは零細企業にはかなり難しい数値だというのが実感です。けど、そこそこ優秀なデベロッパーならそれくらいはもらってないとおかしいじゃないかとも思いますし、感触的にはまったく不可能というわけでもないと感じています。ただ、この水準に行くのはもうちょっと組織としてレベルアップしないと難しいとも思っているところです。もちろん平均600万が達成できたら800万、1,000万とレベルアップしていきたいですね。

さて、賞与の額ですが今年度は全員一律としました。しかしもう少し給与水準が高くなってきたら評価や査定をおこなって差をつけるようにしていきます。全員が同額なのは今だけの予定です。

業績が悪化したとき

こういう業績連動型だと業績が悪くなれば報酬も少なくなります。内部留保がたくさんあれば(言い換えると貯金がたくさんあれば)そこから人件費を出せばいいのですがディーバのような零細企業ではなかなか難しいのが実際のところです。2、3ヶ月の短期であればどうとでもなりますが半年以上など長期になってくると資金繰りが苦しくなってきます。
また、毎年のように大きく年収が変動しては生活設計も難しくなってしまいます。なのでなるべく安定していた方がいいのは当然です。
これらの点は今後の課題だと思っています(けど、なるべく利益を残して内部留保を大きくして業績悪化時に備えるというくらいしか思いつきませんが。結局のところ「しんどいときに使えるお金をどれくらい残してあるか」に行き着いちゃうもんなぁ)。

労働分配率55%な訳

上でサクッと「労働分配率を55%にしたい」と書きましたがなぜ55%かというと明確な根拠があるわけではありません。いろいろ考えたらそれくらいが落とし所かなと思ったという程度です。

同じ図を再掲します。

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以下、各項目の簡単な説明。
(きちんと会計を学んだことがあるわけではなく、最近になって本やWebを読んだりして勉強しただけなので間違ってるところもあるかもしれません)

  • 売上 … ソフトウエアを開発したり販売したりしてその対価としていただいたお金です。ディーバの場合それ以外の売上はほとんどありません。
  • 原価 … 飲食業なんかだと材料費になりますがディーバの場合は外注費です。去年2案件ほど外の人に手伝ってもらったのでそれで支払った分です。
  • 粗利 … 売上から原価を引いたもの。なのでこの粗利が「ディーバのみんなが働いた対価としてもらったお金」ということになります。粗利は限界利益とか付加価値とも呼ばれます。
  • 固定費 … 家賃や光熱費、PCやVisual Studioなんかの購入費です。固定費という名前ですが金額が固定という意味ではありません。ちなみに、物を売ったときに一緒になくなってしまうものは原価になります。物を売っても残るものが固定費です。
  • 人件費 … 給料です。これには社会保険の会社負担分なども含みます。
  • 経常利益 … 会社に残る利益です。ここから法人税なんかが引かれた金額が実際に会社に残る金額になります(税引き後の利益を純利益と言います)。
  • 労働分配率 … 粗利に対する人件費の割り合い。

労働分配率は「これくらいが適正」という値があるわけではないそうですが「50~60%くらいであればいいんじゃないかな」くらいではあるようです(業種によって様々ですが)。いろいろ考えたところディーバの業態では55~60%くらいが妥当なところなのかなと思っています。
ちなみに人売りをしているSES企業とかだと労働分配率75%以上なんてところもあるようです。これは、人売りだと会社の取り分だけ抜いて残りはみんな給与として払っちゃうことができるからです。事務所に机もPCもいらないし交通費などの経費も客先に請求できるしとなると固定費がほとんどいらなくなります。その分を人件費に回せるわけです。派遣業なんかでも労働分配率は75%くらいになっているようです。

労働分配率も重要ですが経常利益も重要です。
経常利益率は25%は欲しいと思っています。
経常利益は会社に残るお金(実際にはここから税金を引いた額が残るお金)な訳ですがこれはすなわち今後のための余裕ということになります。業績不振のときに何とかするためのお金という側面もありますし、研究開発費や宣伝広告費として使ってより業績を伸ばすためのお金とも言えます。また新たに人を雇う場合でも雇った直後から売上が増えるわけではないので余裕がないと雇うこともできません。毎年成長を続けるためには毎年利益を出し続けて余裕を作り続ける必要があります。カツカツだと新たな一歩を踏み出すための研究開発費も出せなくなってしまいます。だから常に利益は出し続ける必要があると思っています。「今年は利益なしのとんとんでいいや」という小休止はナシだと思っています(結果的にそうなってしまうことはよくあるんですが)。
とは言うものの、経常利益率25%が妥当かどうかはわかりません。中小零細企業の社長向けの書籍なんかに「経常利益率は25%は取れるようにしろ」とあったのでそのままこの数字を使っています。規模が大きくなれば金額も大きくなるのでそうなったら25%にこだわる必要はないのかもしれません。有名な未来工業の故・山田社長は経常利益4,000万くらいは取れるようにしろとおっしゃってたそうなのでそれくらいが1つの目標なのかなとも思っています。

というわけで、労働分配率の面から見ても経常利益率の面から見ても「粗利に対して経常利益25%、人件費55%、固定費20%」くらいが妥当なところだと思えたのでこの値にしています。
割り合い自体は状況を見ながら調整していくことになると思いますが給与賞与の考え方自体は変わりません。